中野太郎
中野太郎(なかの たろう 1936年10月30日 - 2021年1月10日)は日本の元ヤクザ。五代目山口組若頭補佐・中野会会長。五代目山口組若頭・宅見勝射殺事件を起こしたとして五代目山口組から破門、後に絶縁。「喧嘩太郎」、「懲役太郎」の異名を持った。
略歴
山口組
- 大分県日田市出身。
- 1970年、初代山健組内に健竜会を渡辺芳則と共に設立。
- 1989年、五代目山口組発足に伴い直参に昇格。
- 1990年、五代目山口組若頭補佐に就任。
- 1997年7月、若頭補佐・風紀委員長の吉野和利が総指揮をとり、東京都と大阪府の中野会傘下組織から、宅見勝の動向を探るための偵察部隊と襲撃するための襲撃部隊をそれぞれ選抜。
同年8月28日午後3時20分ごろ、山口組総本部長・岸本才三(後に最高顧問)と、副本部長・野上哲男(後に最高顧問)と共に、新神戸オリエンタルホテルのティーラウンジの一番奥まったテーブルに着いた。
その直後、中野会傘下の襲撃部隊が宅見勝を銃撃。
宅見勝は38口径と45口径の拳銃で計7発の銃弾を受け、救急車で神戸市立中央病院に緊急搬送されたが、約1時間後の午後4時32分に同病院で死亡した。
事件当時、隣のテーブルに座っていた一般人の歯科医師の男性が、流れ弾が命中し重傷を負った。
同席していた岸本才三、野上哲男は無事だった。
事件から3日後、中野太郎は宅見勝の射殺事件により山口組から破門処分。
同年9月3日、事件に巻き添えとなった歯科医師が死亡した事で絶縁処分となる。
中野太郎はこの処分を不服とし、中野会を解散せずに独立。
独立組織
- 中野太郎は配下組員に対し、中野会残留か、他の山口組傘下組織へ異動するかの判断は各々に委ねるとした。
中野会組員は、山健組など他組織へ大量離脱した。
- 山口組執行部は中野会への攻撃を厳禁とし傘下組織へ通達。
(親を殺害された宅見組および天野組等の「宅見一門」は報復行動が例外的にある程度許容された。)
- 中野会本部事務所を神戸市須磨区から大阪市天王寺区生玉町へと移転。
- 1998年7月6日、在日韓国人であった若頭補佐・風紀委員長吉野和利は、韓国の高級住宅地にある豪邸で家族とともに潜伏していたが、ソウルで変死体となって発見された。
ソウル警察は脳梗塞と発表していたが、吉野和利の遺体からは内臓や脳は全て除去されたおり、さらに血液をすべて搾取されていた。
後に警視庁が残された毛髪から調べ上げ、薬物による中毒死の可能性が状況的にも強く示唆され毒殺の可能性が高いという。
- 1999年7月1日、大阪府公安委員会が独立組織として中野会を指定暴力団に指定。
- 1999年9月1日、中野会若頭・山下重夫が大阪市生野区内の麻雀店で、宅見組若頭補佐・西野保ら襲撃チーム4人によって射殺された。
中野会は山口組から度重なる報復攻撃を受けたが、中野太郎は五代目山口組への報復攻撃を厳禁とし、一度も山口組へ報復することはなかった。
- 2002年4月、単身で本土から狙い続けていた天野組・山下哲生組員により沖縄県那覇市内で中野会副会長・弘田憲二が射殺される。
- 中野会は山口組から絶縁処分以降、8年にわたり独立組織として存在した。
- 2003年5月、中野太郎が自宅で脳梗塞で倒れる。
- 2005年8月7日、六代目山口組発足に伴い、寺岡修や竹中武らの仲介もあり大阪府警に解散届を提出。中野会を解散し引退した。
引退後
- 2018年、「悲憤」を出版。自伝の内容では、五代目山口組組長である渡辺芳則が、日頃から五代目山口組若頭である宅見勝から「五代目の座布団に座らせたのはワシや」と言われるのに耐えきれず、渡辺芳則親衛隊を自認する中野太郎に、電話で毎日「いつ殺るんや?はよ殺れ!」と催促を受けていた様で、「宅見はほっといても持病で長くないですわ」と中野が言っても渡辺芳則は、それでも宅見の始末を実行しろと要請していたらしい。結局、宅見若頭射殺事件が発生。中野会逮捕者全員の調書を全て取り寄せ、本件供述調書内容を再確認したところ、所謂「子殺し」が判明し五代目山口組組長渡辺芳則に引退の引き金になった。
- 2021年1月10日未明、肺炎により死去。
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