匿名・流動型犯罪グループ
匿名・流動型犯罪グループ(通称・トクリュウ)とは、2023年に警察庁が定義した実態に合わせてより広い概念の犯罪グループの位置づけ。外形的な機構の改革ではなく「実態重視の運営法の抜本改革。時代の変革で生じた捜査や対策の空白を埋める」とし「改革の範囲や具体性は過去に例のない規模」としている。
特徴
- この「匿名・流動型犯罪グループ」は、自分たちでグループ名を名乗らずに、匿名性の高いSNSで実行役を集めるため、指示役を特定しにくく、メンバーが良く入れ替わり、実行役を使い捨てるなど、流動性が高いといった特徴がある。
- 複数のグループがゆるやかな繋がりのなかで、闇バイトを使い、自らは姿を現さないまま犯罪行為に及ぶケースが相次ぎ、実行役を逮捕しても背後にいる首謀者が分からないケースがほとんどとなる。
- 匿名・流動型犯罪グループが関与する特殊詐欺、広域強盗事件などの凶悪事件が社会問題化し、実態解明や取締りが必要とされていた。
- SNSなどを通じて募集した「闇バイト」などを実行犯にした特殊詐欺や、繁華街で白昼堂々行われる広域強盗事件などの凶悪事件が社会問題化。
犯罪情勢が「これまで想定できないような態様にまで拡大している」とし、多様で変化するグループの実態を解明し、あらゆる刑罰法令を駆使した戦略的な取締りを行うことが重要とされ、従来の犯罪組織とは異なる集団の台頭やネット犯罪など社会の変化に対応するため、警察庁が組織改革に乗り出し、全国の警察本部へ改革を指示した。
概要
- 2023年7月3日、警察庁は暴対法改正や暴排条例で暴力団組織が縮小する中、SNSなどを通じて緩く結びつき「闇バイト」などの犯罪で、離合集散を繰り返しながら特殊詐欺や強盗などを繰り返す犯罪集団や、ピラミッド構造を持たない準暴力団や半グレなどを、新たな治安の脅威として実態に合わせてより広い概念の「匿名・流動型犯罪グループ」と位置づけ、47都道府県警の規模や地域性に応じて専従の係や班、担当を置いて実態解明と取り締まりを強化した。
- これまでの事件の捜査原則では「発生地主義」であったが、嘱託捜査チームを大都市圏に設置。
これにより土地鑑が無い捜査員が、遠方の現地に行かなくても嘱託捜査チームが捜査を行うようになり、人員や予算の負担の問題も解決した。
- 外形的な機構の改革ではなく実態重視の運営法の抜本改革で、時代の変革で生じた捜査や対策の空白を埋めるとし、改革の範囲や具体性は過去に例のない規模としている。
その他の合理的なテーマ
- サイバー空間の捜査では、専門性の高い捜査員に加え、技術者の能力を高める育成強化だけでなく、専門家として役職も昇格するシステムを確立する。
- 個人が組織に属さず単独でテロを行う「ローンオフェンダー」では、警備部門を中心に情報収集を集約する。
- 「パパ活」などと称される少女買春や、違法薬物売買については、各警察本部や課、署などで個々に行っている「サイバーパトロール」の一元化への検討を進める。
- 高額な飲食代金で女性に借金を負わせ、風俗店などを斡旋して売春をさせるモラルの低い「悪質ホスト」や、違法薬物などで女性をコントロールするなども、全国的に広がりつつあるとしてあらゆる法令を駆使して取り締まる。
- 署や交番について、人口減少などの変化に応じて複数の署などの部署で役割を分担するといった人員の効率的配置を推進。
- AI(人工知能)やドローン(無人機)など先端技術の導入促進とは別に、交通事故の捜査書類の簡素化を進め、件数が極めて多いが形式的で過失の程度が軽微なため不起訴(起訴猶予など)となるケースが相次いできた業務上過失事件の処理を合理化するため法務省と調整に着手。
- 空き巣など窃盗犯の余罪について実施している「引き当たり」と呼ばれる実地捜査のリモート化も具体的に導入する。
- 犯罪グループの資金の流れを追跡することで首謀者の捜査につなげる。
- 海外に潜伏する指示役などを検挙するため、警察庁を通じて外国の捜査機関とも積極的に連携を図る。
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